高校時代

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ありったけの想いをぶつけ、ようやく恐る恐る目の前の顔を見ると、そこにはいつもと変わらない眩しい笑顔を浮かべた天王洲がいた。 「……ありがとう」 穏やかな口調で、彼は喋り始めた。 すると、学ランの右ポケットを探り何やら取り出し、俺の目の前へとそれを差し出した。 「え……金ボタン?」 「うん。これ、俺の第2ボタン。清瀬にあげる」 「……ありがとう」 貴重な第2ボタンを渡され、つい淡い期待をしてしまう。 「俺も清瀬のコト、ずっと好きだったよ。だけど今、俺……付き合ってる()がいるんだ。だから……」 複雑な表情を浮かべた天王洲に、俺は今にも泣きたい気持ちを押さえ穏やかな笑みを必死で浮かべた。 「そっか……」 一足行動を起こすのが遅かった…… その時は、一瞬悲しい想いに苛まれたが、悔いなく行動したことで不思議とすっきりした気持ちになっていた。
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