中学時代、放課後

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「さぁ、帰ろうか」 職員室から無事に戻ってきた俺たちは、革製の黒い長方形の学生鞄を手にし、教室を後にする。 下駄箱まで2人並んで歩く姿は、日中ではとても見られない光景だった。 身長172cmの天王洲、そして160cmの俺。 スクールカーストでいうところの頂点にいる天王洲、最下層に位置する俺。 でも、そんなことを気にしていたのは今の今まで俺だけだったことを知った。 だからもう、俺は自分に引け目を感じず、対等で良いんだ……そう、思えた。 天王洲の言葉は、自己肯定感の低すぎる“俺”という存在を高みへと引き上げてくれるには十分なものだった。 下駄箱で靴を履いた俺は、天王洲へと「さよなら」を告げる。 「清瀬、同じ方向だろ?途中まで一緒に帰ろうぜ」 天王洲からの予想外の申し出に、夢ではないかと自分の手の甲をつねった。 夢じゃない、そう思った俺にはもうドキドキが止まらなかった。 「いいよ」 その上、最下層の俺はこれからも天王洲とのこの(、、)関係は途切れることは無いんだと、このやり取りで根拠の無い変な自信を持ってしまう。 それがたとえ勘違いだったとしても、この時は流れでついそう思ってしまったのだった。
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