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「黙っててごめん。僕を殺した後、きちんと帰れるくらいまでミアが回復したら言うつもりだった。君のお父さんを殺したのは僕だ」
「でも……どうやって……」
証拠を見せられても、ノアが父様を殺せたとは思えない。
肉体的にはもちろんのこと、精神的にも。
ノアは苦しそうに言葉を紡ぐ。
「お願い、したんだ。話がしたいと言ったら部屋に入れてくれて、事情を話した。『国王が娘を奪われた報復のために、国民を徴兵して貴方の命を狙っている』と。次の徴兵には結婚を控えた兄がいて、兄が返り討ちされるのを避けたい事も話した。そして、『死んでください』と、お願い、したんだ。そしたら……」
ノアの瞳から光が消えていく。
徐々に包丁に重みがかかる。
「最後まで話して!」
思わず怒鳴れば、自ら刺さりにくるように、前のめりになっていた彼が姿勢を正す。
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