お返し

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◆ 良い香りが鼻をくすぐる。 「父様、今日の朝ごはんはなぁに?」 目を閉じたまま声をかける。 寝返りを打って違和感を感じ、我に返って飛び起きた。 そこは見知らぬ部屋のベッドの上。 ふらつく足で隣の部屋を覗けば、あの時の青年が鍋をかき混ぜている。 私がもう少し扉を開けると、キィと音がして彼が振り返った。 「目が覚めて良かった。もうすぐスープができるから」 彼はニコリと微笑んだ。 促されるままに席に座り、差し出されたスープを凝視する。 「あ、魔族はこういうの食べないのかな?姿が似ているからてっきり食べるものだと……」 「いえ、頂くわ」 彼が恥ずかしそうにお皿を下げようとしたので、その手を止めてスプーンで一口すする。 「……美味しい」 「良かった!味覚も僕らとあまり変わらないのかな」 彼はそう言いながら、自分の分をよそるために私に背を向け、振り返って慌てだした。
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