お返し

6/12
前へ
/12ページ
次へ
「大丈夫?どこか痛い?それとも食べられないもの入ってたかな?」 そう言いながら、私に寄り添い、私の目から流れ落ちる涙を拭ってくれる。 包帯を巻いた腕や、所々見える火傷の痕は私のせいだろうに、それには一切触れず私の心配をしてくれる。 温かいスープ。温かい言葉。温かい眼差し。 父様のぬくもりを失ってから初めての温かさだった。 「私が放った炎はどうなったの?」 「君が倒れた後すぐに消えたよ」 「そう。私の魔力を使い尽くしたから消えたのね」 魔力切れのせいで、足元はおぼつかないし、頭もまだ少しぼーっとする。普通に歩けるようになるには二、三日かかりそうだ。 復讐のための魔力が戻るのはもっと先だろう。 「魔力が切れると大変なんだね。急ぎの用があるなら手伝うよ」 青年は私の様子を心配して、そんな言葉をかけてくれる。 真面目でまっすぐなその雰囲気に、私も正直に答えなくてはいけない気がして口を滑らせた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加