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次の日も魚を釣りに船で沖に出た。天候は昨日とは打って変わって晴天であった。同じように太郎のお気に入りのポイントを目指した。昨日家族に魚を食べさせられなかった分、その日はいつもより気合が入っていた。
釣り糸を垂らすとすぐに魚がかかった。(今日はなかなか調子がいいな。こんなにすぐにヒットするなんて。)そう思いながら釣りを続けているとこの日は次々と魚が釣れたのであった。十分な量の魚を釣って満足して浜へ戻ろうとした。すると、また黒い影がゆっくりと泳いでいるのを見つけた。(昨日と同じ影だ。一体何なんだろう。とにかく早く浜へ逃げなくちゃ。)例によって黒い影は太郎めがけて泳いでくるようだった。この日も何とか無事に浜へ戻ることができた。
釣った魚の入った籠をひっくり返さないように慎重に家まで持って帰った。
「ただいま。」
「お兄ちゃんお帰り!今日はお魚釣れた?ぼくはアジが食べたいなー。」
太郎が家に帰るとすぐにお腹を空かせた弟たちがそばに寄ってきた。
「今日はたくさん釣れたよ。アジもあるからお母さんに捌いてもらいなさい。」
「やったー!今日はお魚が食べられるね。お兄ちゃんありがとう!」
弟たちの喜ぶ表情を見て太郎は嬉しくなった。
「これから余った魚を売りに行ってくるからお前たちは先に食べてていいぞ。」
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