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戦士になって人々をモンスター共から守ること。そんな夢を持っていた。だから、街の寮制の戦士育成学校に親の反対を押し切って入学し、そこで戦士の資格を得ようとしていた。
当然村にいる両親とは離れ離れになったが、寂しいとは思わなかった。
困ったことがあったからな。
それは、戦士を目指しているにもかかわらず、俺がとてつもなく弱いということ。
初期ステータスが低いというか、レベルアップの変化の割合が小さいというか。
いじめられていたなあ。あのときは。
「おまえなんでこの学校通ってんの? 親に悪いと思わないの? もしかして親が馬鹿なの? いやお金もったいないってマジで。ここ戦士専攻だよ? 今すぐ商業専門か言語専攻にでも転校しなよ。はっきりいうけどおまえみたいな弱々しい奴いらんから」
これは戦士育成学校2年目のときだったな。クラスのカーストも整ってきていたからか、一番弱かった俺は不良らによくトイレでいじめられていた。
いい思い出ではない。悪いかと言われるとそうでもないかもしれない。
学校が学校な為、先生も生徒もゴリラみたいな奴ばっかだ。そのため、いじめも殴られることが多かった。
もちろん、というかは、ただ俺が弱かっただけかも知れないが、否定ばっかされて、その度に俺は泣いていた。
鋭い刃のように、ゴリラたちの言葉は俺に突き刺さった。自分が間違っているのかと錯覚させられた。
何もいい返せなかったが、悔しかった。正論がどこにあるのかすらわからなかった。
「泣いてやがるぜこいつ」
「こんなんで泣くとかマジで向いてねーぜ」
「はあ。泣いてるの見ていたらイライラしてきたわあ」
「わいも。おらぁっ!」
「おらぁっ!」と言うと同時に、泣いてうずくまっている俺はあらゆる方向から蹴られた。
「痛い」と言うことすら許されず、ゴリラに蹴られまくって、なんだか人生が嫌になったね。
死にたくなった。辛いし痛いし苦しいし。現実の味は不味すぎて、飲み込むことなんてできっこなかった。食べるのを諦めて捨ててしまった方が楽だ。
比喩にしないでまとめると、救われようがないなって。
まあ、救われたから俺はこうやって生きているわけ。
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