第1章)自己紹介

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彼(志摩くん)が車を降りたとき、校舎に向かって歩いていた生徒たちが一斉に彼の方をむいた。ように、みえた。ーーー正しくは、一斉に彼の横にいた三鶴の方をむいたのだけど。 その時彼は悟ったのだ。それまで彼に与えられてきた平凡、ーーーーー学校に着くと恭しく頭を下げられ、同じ学校の生徒は常に彼の動向を見守っていて、全ての人の視界には彼がいるということ、彼が、学園の中心であること、、、それが、いま、崩れたのだと。 自分の、今までの日常は、変わってしまったのだと。平凡な日常を失った悲しみもあっただろう。 けれど、その時彼は思った。 「あれこそが、みっつーこそが、僕以上に平凡であるべきで、男子高校生の手本なのだ。」 拳を握りしめ (緊張によって手汗がにじませて)、 堂々と (緊張によってロボット歩きをし)、 色白な頬にはさらさらと髪をなびかせ (緊張し過ぎて蒼白となり) ながら生徒達の中心を校舎に向かって歩いて行くみっつー。なんて、平凡で、かっこいいんだろう。綺麗なんだろう。 彼は、そんなみっつーに憧れた。
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