〔4〕人は歴史を同一地平の出来事として同時に見る。

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〔4〕人は歴史を同一地平の出来事として同時に見る。

 歴史なるものについて、一般にこういうことが考えられてしまうことはないだろうか?  たとえば日本史の中では、大化の改新も関ヶ原の戦いも明治維新も、「日本史という一つの場所」において、あたかも「同一の地平に同時に存在するものであるかのように見えてしまう」のではないだろうか?「日本人」は、自分たちの歴史において起こったとされるそれらの出来事を、「日本史の一つの年表の上で、同時に見ている」のではないのだろうか?  あるいは、たとえば「哲学の歴史」というような本を読むとして、そこに書かれている歴代の哲学者たちについて、アリストテレスやデカルト、カントやヘーゲル、サルトルやドゥルーズ等々の、そうそうたる哲学者たちの思想を、私たちはあたかも「同時に存在している思想として読んでいる」ことになるのではないのか?実際それらの「思想」は、書店や図書館の本棚に「横一列に、同時に並べられている」ではないか?私たちはそれを、「同時に読むことができる」ではないか?
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