出会い

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「……この仔をおうちに連れて帰れないの」  彼女は仔犬を抱えていて、その仔犬の為に泣いているようだった。  僕は尋ねる。 「どうして?」 「うちのマンションでは、犬が飼えないの。この仔を見つけたんだけど、親に、元の場所に戻して来いって言われて……」  そしてもう一度僕は尋ねる。 「どうして?」  すると彼女は少し苛立った様子で、 「私は飼いたいけれど、わんちゃんが飼えないおうちだからダメなんだよ。この先、内緒で飼っていたのが見つかったら、この仔がもっとかわいそうなことになっちゃうから」  彼女はまた涙を浮かべた。  そして僕はその犬の方を見てしゃがんだ。 「そうなんだ。犬、好きなの?」  すると彼女は涙を浮かべたまま、とびっきりの笑顔を向けて、 「うん! 大好き! だからこの仔を一人にしておけないの」  すると彼女の抱えていた仔犬が彼女の頬をペロペロと舐めた。 「うふふ、本当にカワイイ」  その姿を見て、感情というものにはとても鈍い自分だが、何故か胸がきゅうっと締め付けられるような感覚を起こした。  そして彼女が僕に尋ねた。 「貴方、外国の人?」  僕の外見を見て彼女はそう言ったのだろう。僕の髪は白髪で、瞳が赤い。どこの国籍の人間なのか、と問われても、僕は何も答えることは出来ないのだけれど、 「うん……そんなところ」 「貴方の瞳、とても綺麗だわ。この仔と同じ赤い色をしている」 「……アルビノっていうんだって。僕みたいなの。だからこの犬もそうだね。毛の色が白くて、瞳が赤いでしょ? やっぱり、肉球もピンクだ。この仔、あんまり、丈夫ではないよ」 「そうなの?」 「アルビノはとっても珍しい個体なんだ。紫外線を防ぐ色素も無いし、瞳は光に弱い。寿命も……短いだろうね」  僕もその仔犬の頭を撫でた。  すると彼女は、涙はもう止まっていたのに、また泣き出しそうな表情をして、 「そう……なの。じゃあ、貴方も?」 「僕は……、大丈夫だよ」  僕はそれ以上何も言えなかった。何も言えるはずが無かった。きっと僕は、彼女から見ると、悲しい表情をしていたのかもしれない。彼女は少しの間、黙っていたけど、何か閃いたように、
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