1 悪魔

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亮平の父親は様々な職を渡り歩いていたが、酒癖が悪くしばしば妻や亮平に対し暴力を振るっていた。  父親は肝硬変で死亡したが、その後は少年は母親と2人暮らしであった。亮平は学校では目立たない存在で、友人も少なかった。小学生時代は、家庭科の教材費を支払うことが出来ず、それを理由に教師からは調理実習で作った料理を食べる資格がないと決め付けられ、作った料理をゴミ箱に捨てさせられたこともあった。  中学校時代は少年は『悪魔』と呼ばれたこともあった。中学2年の頃から不登校気味となり、中学3年には3分の2近くを欠席し、修学旅行などの行事にも参加しなかった。  大学卒業後、しばらく就職先が見つからなかったが、知人の紹介で派遣会社で働き始めた。  だが母親には借金があり、取り立てに迫られたり、家賃や水道料金を滞納していた。生活保護も申し込んだが認可されなかった。  6月になって亮平は借金のことを知ったが、そのときには既にもうどうしようもないところまで来ていた。  事件直前の7月27日と7月28日には仕事を初めて無断欠勤している。その際は同僚が迎えに行き28日の途中から出勤したが、夕方には「母親が借金している」と悩みながら同僚に話しかけていた。また母親には再婚話があり、同僚に対し「僕は邪魔者だから家を出る」とも話していた。  そんな中、7月29日午後9時ごろ、亮平と母親は口論となる。きっかけは亮平が交際したいと考えていた女性の携帯電話に、母親が無言電話をかけたためであった。  そのことを母親に亮平は問いただしたが認めず、母親が亮平に対し「出て行け」などと言ったことに腹を立て、借金の事も絡んで口論となり暴行を加えた。  そして、頭に血が上った亮平は金属バットで母親の頭と顔と胸などを殴り倒し母親を滅多打ちにし殺害した。  三田村優子殺害事件では検事に対し母親殺害の際に射精した事を述べたが、これは「返り血を流すためシャワーを浴びたら、射精していたことに気づいた」ということであった。また、この事は母親殺害の際は調べに対し述べていない。7月31日午前1時頃、亮平は「母親を殺した」と110番通報をする。梵天署は亮平を殺人容疑で緊急逮捕した。
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