才蔵と僕

　昨日の件もあり、ちょっと隣のアパートの様子を見てから行こうと思ったからである。

　隣のアパートは通勤時、いつも前を通りがかっている。確かあったはずと、敷地内を見渡し、僕はアパートの管理会社が書かれた看板を見つけた。住民間の問題に対しては直接ではなく、アパートの管理会社を通して苦情を伝える方が波風が立ちにくい。僕はメモ代わりに看板の管理会社の情報が書かれれた部分をスマートフォンのカメラで撮影して保存しておいた。

　アパートを見てみると、特にカーテン等がかけられているわけでもなく、ぱっと見は誰も住んていなかった頃と変わらないように見えた。今日のところは管理会社の情報を得られただけでも良かったと、アパートを離れようとした時、ふと目を移したアパートのゴミ置き場に気になるものを見つけた。

　「なんだこりゃ？」

　指定のごみ袋にも入れず、無造作に数枚の基盤が捨てられていた。この近辺ではこうした不燃ごみの回収は月１回である。次の回収日までは、まだ間があったし、指定のごみ袋に入れなければ回収してもらえないだろう。

　僕は、このことも管理会社に伝えないといけないなと思いつつ、自転車にまたがると急いで職場に向かった。