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 仕事が終わって家に帰ってくると、今日も今に才蔵の姿はなかった。  今回は完全に予想されたことだった。家に入る前、既に隣のアパートから大声で話す声が聞こえてきたからである。  これは管理会社に連絡しないとダメだなと僕は思った。僕は今日もソファーの下に隠れていた才蔵に言った。 「ごめんな才蔵……明日、管理会社に連絡してみるから、今日は我慢してくれ。」  朝、目覚めて、いつものように才蔵の食事を準備していると、居間のアパートが見える窓に人影が映った。窓に近づいて見てみると、アパートの2階に3つ並んだ部屋のうち、一番奥の部屋の扉から、男が出てきたところだった。  その男は隣の部屋の扉を開けると、部屋の中に向かって何やら叫んだ。その声に呼応するようにさらに隣の部屋の扉が開き、男が出てきた。やがて、中央の部屋からも男が出てきて、3人となった。  3人の男は大きな声でしゃべりながら、揃って階段を下りて行った。そのうちの一人が、書類やノートパソコンを入れるにしては、少々大ぶりな荷物を持っていたのが目についた。  僕はカーテン越しに3人の男達の姿を見た。ぱっと見た目では、皆外国人とはわからない顔だちをしており、身なりも小奇麗とはいかないが、不快感を抱かせない程度には整えられていた。  男達は相変わらず大きな声でしゃべりながら、駅の方角に消えていった。  食事中だった才蔵が、食事を放り投げて再びソファーの下に潜り込んだのを見て、僕はソファーの下を覗き込んで才蔵に話しかけた。 「大丈夫。もういなくなったから、僕が出かけたらゆっくり食べな。」  僕は急いで出勤準備をすると、自転車に乗って家を出た。
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