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 それに対し、僕は昼休みに警察へ通報した電話では伝えきれなかったことを警官に話した。アパートの住民が〇〇〇システムの従業員であること、そしてS市の駅裏にワンボックスカーを止め、それに乗り込んで仕事場に向かっていることなどである。それを聞くと、警官はびっくりしたようで、慌ててそれをメモしていた。  ふと警官の持っている、大きなビニール袋に目を移すと気になるものが目についた。 「これは?」  僕が聞くと、警官が答えた。 「ああ、これは部屋の中にあったものを押収したものですよ。」  どこかで見覚えがある……そうだ、ゴミ捨て場で見た基盤とよく似ている!  僕は警官をゴミ捨て場に案内した。すると昨日見かけた基盤がまだゴミ捨て場に残っていた……しかも昨日より枚数が増えているように見えた。  警官もすぐに気が付いたようだ。部屋の中にあった基盤は帯電防止袋に入れられていたが、ゴミ捨て場にあった基盤と見た目はほとんど同じだった。 「どういうことだろう?」  警官がつぶやいた。部屋から押収した基盤とゴミ捨て場に捨てられた基盤を比べてみると、ゴミ捨て場に捨てられた基盤にはモデル名とシリアルナンバーが書かれたラベルが貼られているが、室内から押収された基盤には貼られていない。  基盤に貼られたモデル名からすると、これはN社が販売する公衆無線LAN等に使われるルーターの基盤のようだった。
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