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「おそらく、これはスパイチップです。」  僕は答えた。 「えっ!?」  情報通信関連についてはあまり詳しくないであろう警官は、ぎょっとした顔で僕を見た。 「〇〇〇システムはS市の公衆Wi-Fi利用環境整備事業を受注してます。だから、S市が整備した公衆無線LANにスパイチップを仕込んだ機器を置くことで、利用者の通信データを傍受しようとしていたのでしょう。」 「つまり、逃げた3人の男はスパイってことかい?」  警官は僕の話を何となく理解したようだ。 「多分そうでしょうね。」  僕は確信してそう答えた。 「そうですか、ご協力感謝いたします。押収した電子機器類については専門の部署に回して、調査します。」  そう言って立ち去ろうとした警官に、僕は念のため、自分の推理を伝えた。 「そうそう、逃げた3人の男達ですが、おそらく明日もA市の駅裏で待ち合わせて、〇〇〇システムの仕事に向かうと思いますよ。警察に顔を見られたわけではありませんし、ここまで足がついているとは考えていないでしょう。」  警官は納得したように何度もうなずくと、僕に重ねてお礼を言い、去っていった。
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