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いつも、彼女に言われてやっと見る。見て、はっとして、落ち込む。 「もう、ちからいれすぎなんだって。こう、おにぎりつくるみたいに、やさしくやるんだよ」  しかたないなというふうに微笑む彼女――春陽(ハルヒ)が、小さな手のひらで大事そうに転がしている黄土色のそれは、自分のそれとは比べものにならないほどツルツルしていて、まん丸だった。  その違いに、また肩を落とす。そんな僕に対し、彼女はふふっと笑った。  自分はすでに一段落ついたらしく、泥とは思えないほどきれいなそれを、(から)の黄色いボウルの中にそっと置くと、 「ほら。いっしょにやろ?」  そう言って、(いびつ)な球体が乗せられた僕の手に、その小さな手を添える。まだ、歳を数えるのに両手がいるかいらないかというくらいだったから、こんなことも平気でできてしまった。 「ひとりでできるのに……」  不満げな僕の呟きには聞こえないふりをして、春陽は手を添えたまま、鼻歌交じりでゆっくりと球体を転がし続ける。僕の手のひらの上で、デコボコだった表面が、だんだんとなめらかになっていくのを感じた。
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