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体を軽く揺すぶられ、低くかれた声に目を開けると、しわくちゃなおばあちゃんの顔があった。
そして、やっぱりすぐ隣、肩が触れ合う距離に、花のような笑みをたたえる春陽。
なんの躊躇もなくひとつの布団の中で身を寄せ合えたのも、僕たちがまだ未熟で、幼かったからだ。
「ようす、みにいこ?」
「はやくはやく」と催促する春陽に手を引かれ、半分寝ぼけた状態で縁側へ出る。
僕はいつだって、彼女の言葉で動く。動いて、何かに気づかされる。
軒下で休ませておいたふたつの泥だんごは、小さなボウルの中に、ちょこんと仲良くおさまっていた。まるで、さっきまでの僕たちみたいだ。
ここから、追い込みに入る。乾いた砂をふるいにかけて細かくし、「さらこな」と呼ばれるそれを泥だんごの表面につけて磨いていくのだ。
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