12人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
軒下に並んで座り、
「こんどはひとりでできるから」
と意地を張って忠告した僕に、春陽は、
「うん。わかった」
素直に了解して、また包み込むように笑う。彼女は本当に大人すぎる子供だった。
さらこなを満遍なくいきわたらせて、最後にもう一度砂をつけたら――
「できたー!」
先に完成の声をあげたのは、いつものごとく春陽だ。
「ぼくだってできたよ」
僕も負けじと胸を張り、ふたりそろって泥だんごを太陽にかざす。
ところが、その出来栄えの差に、飽きもせず愕然としてしまった。
春陽が作ったものは、思った通りたまごのようにつるりんとしていて、眩しい太陽を覆い隠すようにまん丸。
対して僕が作ったものは、さらこなのかけ方が下手なのか、それとももっと前の段階で問題があるのか、統一感のないまだら模様。形こそ崩れていないものの、表面はデコボコに戻ってしまっている。
もう5、6回は作っているはずだ。春陽はそのたびに上手くなっていくけれど、僕はちっとも上達しない。
最初のコメントを投稿しよう!