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 軒下に並んで座り、 「こんどはひとりでできるから」  と意地を張って忠告した僕に、春陽は、 「うん。わかった」  素直に了解して、また包み込むように笑う。彼女は本当に大人すぎる子供だった。  さらこなを満遍(まんべん)なくいきわたらせて、最後にもう一度砂をつけたら―― 「できたー!」  先に完成の声をあげたのは、いつものごとく春陽だ。 「ぼくだってできたよ」  僕も負けじと胸を張り、ふたりそろって泥だんごを太陽にかざす。  ところが、その出来栄えの差に、飽きもせず愕然(がくぜん)としてしまった。  春陽が作ったものは、思った通りたまごのようにつるりんとしていて、眩しい太陽を覆い隠すようにまん丸。  対して僕が作ったものは、さらこなのかけ方が下手なのか、それとももっと前の段階で問題があるのか、統一感のないまだら模様。形こそ崩れていないものの、表面はデコボコに戻ってしまっている。  もう5、6回は作っているはずだ。春陽はそのたびに上手くなっていくけれど、僕はちっとも上達しない。
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