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  5分も経たないうちに、額に汗が浮き始めた。  高校最後の夏休み。二度目の登校日を終え、帰路を急ぐ僕の全身に、容赦なく日差しが降り注ぐ。  額から生まれた玉の汗は、頬をつたい、顎から落ちて、真新しいポロシャツにじわりとしみ込んだ。  懸命に漕ぎ続けている自転車は、涼しく風を切る――なんてことはなく、体にまとわりつく熱風を巻き上げるだけ。教室の天井に備え付けられた首ふり扇風機と同じく、お節介な仕事をしてくれている。  机に溶けたように突っ伏したまま、うめき声をあげるクラスメイトの面々を思い出し、 「……あー!」  たまらず叫んで、空を仰ぐ。そこには、さんさんと光り輝く白。  そのまばゆさに思わず手で(ひさし)を作り、目を細めたとき、ふと脳裏をよぎった。  ――今度は会ってくれるよね?  5年ぶりに届いたメッセージに、僕はなかなか返信を送れないままでいる。  * 「あっ、シュウちゃん、またヒビはいってる!」
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