我が姫殿下

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我が姫殿下

 旅に出てから、ふりまわされてばかりだ。めまぐるしく変わっていく環境についていくのがやっとというありさまである。 (だいたい、どうして従者が主人と同じ食卓についているのかしら)  従者というものは寝室に押し入ってくるものではない。敬語を崩すべきではないし、議論や討論をする相手でもない。まして、食事をともにするものではないと思うのだ。  こう言うと、シェリアは首をかしげる。 『リフィの言うのは従者じゃないよね。それは単なる召使いや奴隷。従者は人間だよ』  違いがよくつかめないのだ。シェリアには区別がつくのだろう。馬を乗りこなして戦争にも出ていくし、気がつけば旅行に出かけている。だから、従者がいる状態が常なのだ。 『なんていうかね、従者は友達に近いかな。まず、対等な人間なわけ。そのうえで、身分差がありますー、能力差がありますーって、それぞれに積み重ねてくの。だから、主の身分や人柄に頭をさげますってのと、従者の能力に感服しますってのがつりあったときだけ、いっしょについてきてもらえる、みたいな』  少なくともね、あたしはそう考えてるよ。  二日目だったか、シェリアが言ったことばが胸にひっかかり続けている。     
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