君の隣に

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リアが全ての隊員の名前をメモして、新長官の元へ歩いていると、窓の外にイルマの姿を見つけた。盛り上がった土の前に呆然と立ち尽くしている。重いブーツを履いたリアの足が自然に止まった。 リアの半開きになった口からは言葉が出てこなかったが、イルマは気配を察して振り向いた。 その笑顔は優しさよりも哀しみの色が強かった。途端にリアの目から涙が溢れ出した。 両手の平に顔を伏して泣き出したリアの耳に、土を踏む足音が近づいてくる。 「リア、泣かないで」 「……ごめん、イルマ。俺のせいだ」 「もう聞き飽きたよ」 壁の窓越しに慰めてくる優しい声がリアの後悔に拍車をかけた。 「長官は、イルマのこと守ってたのに」 「……リューイは不器用だから」 歯を食いしばって泣き続けるリア。イルマといる時以外は感情を出すことができなくなっていた。 仲良くなれば、リアが死んだ時にかえって辛くなるぞ。 元長官(リューイ)がイルマに宛てて書いた最後の手紙に、そう書いてあった。 「悪いのはリアじゃない。僕だ。僕がリューイの気持ちを踏みにじった。彼の優しさを分かってあげてなかった。僕は昔にも命を助けてもらったのに」 「でも、死ぬことはなかったんじゃ……」 滝のように涙を流すリアとは対照的に、イルマの瞳から一粒だけぽろりと涙がこぼれた。 「彼が、一番人間らしかったのかもしれない」 イルマはぽつりとこぼした。 「小さい頃は家も隣同士だったし、よく一緒に遊んで……。よく笑う人だった」
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