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荒涼とした平野に建つバラック。そこに土煙を上げながら一台のバンが到着した。
タイヤの溝に着いた砂のせいで若干滑りながら止まると、扉を開けた車体から真新しい軍服を着た若者たちがぞろぞろと降りてくる。
刺すような寒さに身を強張らせた。訓練を終えて派遣されてきた彼らは、緊張した面持ちで整列した。
運転手の話に聞いていた通り、バラックの前で待ち構えていた上官。年の頃は新入りたちより少し上のようだ。帽子のつばが顔面に黒い影を落とす。仁王立ちしている彼もまた、訓練所の上官のように鉄の仮面をつけたような顔をしていた。
「諸君、国境線へようこそ」
とても歓迎しているようには思えない無表情な声。透き通ったブルーの目は新入りたちを実際睨みつけていた。筋肉の盛り上がりは服を着ていても分かる。それは新入りである自分たちの体がああなるまでに、厳しい訓練が待ち受けていることを示していた。
「ここでのタイムスケジュールは各部屋に貼ってある。今言わなければならないことは、逃げ出そうとするなら処刑されるということだ」
無慈悲な声。寒いはずなのに、じわりと汗がにじむ。
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