1月32日

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それが最後の日でした。 どうも(カラス)の聲が(うるさ)くて 微睡んでしまう、金色(きんいろ)。 何処までも 心の真ん中にあり続ける気がした。 何時までも 体の最奥で刺し続ける気もした。 嗚呼、 最中に もう切り離されたのだと 底まで行き着いたのだと 理解した。 それは最後の日でした。 冷えた指先が安心を連れてきて 知らず溢れた、涙。 もう、「これ以上」刻まれないように 背負い続けても ここで終わっていいよと 赦された。 みえない明日に 音もなく、手を伸ばしていた。 人工的な林檎の香り 慣れ始めた温度 (ゆる)んで切れた線 雪など降りそうもない、夜。 それが、最後の日でした。
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