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風呂場に到着しても同じだった。あれほど怯えていたのが馬鹿みたいだ。
服を脱ぎ、鼻歌交じりで風呂場に入ったら、メガネを発見した。やはり自分が腰掛けたシャワー台にぽつんと残っている。
メガネを取ろうと近づいて、気付いた。
洗い場の腰掛けが汚れている。
壁際に等間隔に並ぶシャワー台と、その前に置かれたプラスチックの腰掛けに、泥のようなものがこびりついていたのだ。
最後に入り、そして夜が明けて最初に入ったのも自分だ。その時にはこんな汚れはなかった。
小鳥のさえずりで我に返り、慌ててシャワーを流す。汚れは簡単に流れていき、元の大浴場の形に戻った。
結局帰るまで、誰にもこの話はしなかった。
仲間内で話すのは、GWに行うキャンプの話題。
みんな気付いていないなら、自分の中に留めておいた方が良いのだろう。
夜の住人と関わらないなら、それで良い。
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