大きな一歩を踏み出して

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大きな一歩を踏み出して

それからはずっと目が自然と先生を追っていた。先生の何気ない言動や仕草に現れる優しさみたいなものに、私は釘付けになっていた。そして日に日に先生に対する想いは強くなっていった。それが恋だと自覚するまでに時間はかからなかった。私は人生で初めて真剣な恋をした。だから試行錯誤の連続だった。 まずは先生に私の魅力を知ってもらう為にどうすれば良いか考え抜いた。そうして単純な答えを導き出した。それはなるべく先生と話す時間を長くすること。そのために私は読書なんて興味ないのに、先生が顧問の文芸部に転部したし、先生が他の教師から押し付けられている雑用を手伝うようになっていたわ。 まだまだ先生との距離は遠い。でも残酷なことに時間は待ってくれない。ついに明日は卒業式。つまり先生との別れを意味するわけで…そんなの絶対嫌だ!と思った。だから私は思い切った行動をとることにした。そう今時絶滅危惧種のラブレターを書くことにしたのだ。人生で一番頭を使う文章作成だったわ。
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