最後の授業は…

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最後の授業は…

そして卒業式当日を迎えた。私は卒業式が終わり、卒業証書を手に取るとすぐに先生のもとに駆けていった。先生は達成感に満ちた幸福そうな表情で国語科準備室に一人でぽつんと座っていた。 「はい、これ」 私は自分で盛大にやらかしたと即自覚できるほどにぶっきらぼうに先生にラブレターを押し付けた。 先生はそんな私に対しても優しい柔らかい笑顔を向けてくれた。そして丁寧にラブレターの封を解放した。ラブレターを真摯な眼差しで先生は一字一字を品定めするかのように丁寧に読み込んでいた。そして読み終えて「ふっ」と一息つくと私の瞳を射抜くかのように直視した。先生の瞳は綺麗だな… 「私は正直に君の想いに応えなければならないな…でもこんな体験恥ずかしながら初めてだから上手く伝えられるかな…」 「私は先生の本心を知りたいんです!それが私にとって期待しない想いだとしても、先生の正直な気持ちを教えて欲しいんです!!」 思わず声を張り上げてしまう。空気がキリリとする。 そんな空気を作り出してしまった自分に自己嫌悪する。だけど嫌な空気は一気に破壊された。なぜなら私は気づいたら先生の胸の中にそっと抱き寄せられていたからだ。 「言葉にできないので…」 先生は唇に接吻した。その瞬間は、私は何が起きたのか分からなかったけれど、冷静になると嬉しすぎて泣いた。 「先生本当に信じていいの?」 「ええ」 「ならもう一回して?」 「勿論しますよ」 先生と私の唇が重なる。 ほんのりあたたかい。 「今日からは生徒と教師の関係を卒業して、恋人同士になりますね」 先生はとても照れていた。 「これからもお願いします」 私はとっておきの「満面の笑み」を先生に返した。
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