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「冷たいだろ」
「・・・言われてみれば」
「風邪引いても知らねーぞー?」
「あ、心配してくれないんだね」
「そりゃするよ。怒濤の勢いで心配し倒すよ」
「し倒しちゃうの」
雪解けに濡れた私の手に、ぬくもりが触れる。
「ほら、風邪引く前にさっさと帰ろ」
「・・・うん」
私の手を握る、彼の暖かい笑顔に、心が蕩けていく・・・。
同じにしちゃ、いけないかもしれないけど。
とけるのって、案外、
悪くない。
「ねえ」
「なに?」
雪は、いつかとける。
だけど、必ずとける運命にあるからこそ、
輝く、美しさもある。
「雪だるま、作らない?」
もう、悲しくないよ。
いつかとけて消えても、残る思い出の美しさを、
私は知ったから。
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