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恥ずかしい思いをさせてしまっている。
わかってるんだ、僕がトロいくらいしか取り柄がない事なんて。
だから自分なりに頑張ってる。
けれど追いつかない。
すると突然、がら、とドアが開いた。
そろりと振り向いて見上げると、春谷さんと目が合った。
花澤君も僕に気づいたようで、罰が悪そうに顏を逸らしたかと思ったら、すぐにこう言ってきた。
「……立ち聞きなんて趣味悪いな」
座ってるけど一緒か、と立ち上がる。
気まずさがどこを見ていいかわからなくして、なんとなく俯いた。
そして春谷さんが僕の手首を掴んでこう言った。
「待ち合わせしてたの。だから彼はここにいる。話を聞いたかはわからないわ」
「ご、ごめんっ、少しだけ聞い、た」
「……ふーん。ならさ、僕に譲ってよ、春谷さん」
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