1.気ままな一人暮らしの終焉

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 気ままな一人暮らしを満喫する息子フリードを憂えた母親ルナが、彼を自宅へ連れ戻した。働いているとは言え、半分放蕩息子のようなものなので、行く末が思いやられる。そこでルナは、家にお金を入れる名目で貯金をさせようと考え、息子に提案した。  フリードは、今まで払っていた宿代プラス飲食代を母親に献上し、娯楽代だけを手元に残すことで渋々同意した。  ルナは、受け取った全額を息子名義の貯蓄に回したのだが、使い込まれないように、その存在を伝えなかった。なので、お金を巻き上げられたと思っているフリードは「俺の金を生活の足しにしようとしているのではないか?」と疑惑の目を向ける。  ルナはさらに、自分の部屋を片付けられない息子のために、家事手伝い用のオートマタのミーナを彼専用に割り当てた。  このオートマタは、ルナの知り合いで変わり者の錬金術師が暇に任せて作った物で、魔力を動力として長時間働くことが出来る。ルナは、月極めで二体――カリーナとミーナ――を先月から借りていた。  二体とも、うら若き乙女の姿をしており、多少ぎこちない動きに目をつぶれば、人間と遜色ないほど精巧に出来ていた。
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