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「最近、お体の具合でも悪いのでしょうか? お薬、ご用意いたしましょうか?」
深夜にフラフラと帰宅して、ベッドではなくソファに体を投げ出して横たわったフリードは、心配そうに覗き込むミーナを手で追い払った。
「疲れただけだ」
勿論、嘘である。ここ毎日、借金が膨れ上がっているのだ。
「いつもは楽しそうでいらっしゃるのに、お仲間と喧嘩でも――」
「心配しなくていい」
酔っているはずなのに、借金のことが頭の中で鐘のように鳴り響き、血の気が引いてくる。
散々考えた彼は、最善と思われる最後の手段を決意した。
「明日は朝食は要らない」
唐突な宣言にミーナは、目をぱちくりとする。
「それはいけません。ちゃんと栄養を取っていただかないと」
「時間がない。深く潜るから」
「ダンジョンをでしょうか?」
「それしかないだろ」
彼の言葉は、借金の返済にはそれしかないという意味も込めていたのだが、ミーナにはそこまではわからなかった。
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