2.口うるさいミーナ

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2.口うるさいミーナ

 一人暮らしに慣れていたフリードは、家に帰ると母親がいてオートマタがいてという女だらけの生活が落ち着かず、どうしても慣れなかった。  それだけではない。亡くなった父親が残した織物の店を細々と経営する母親は、駄目息子が店を継ぐのをとうの昔に諦めており、その代わり独り立ちして堅実に生きて欲しいと願う気持ちが、言葉の端端にうかがえる。でも、今の自分とのギャップがあまりに大きくて辛くなる。  彼は、今日も家に戻ると、そそくさと自分の部屋へ引きこもる。すると、カリーナがフリードの帰宅を店番中のルナに報告する。ルナは、店番をカリーナと交代して息子の部屋へ踏み込む。  フリードは、自分の部屋にやってきた徴税人に、ギルドで手に入れたほやほやの金貨を召し上げられると、いくばくかの銀貨と銅貨が手のひらの上に戻る。部屋を出るお(かみ)の背中へあかんべえをして、小銭をポケットにねじ込んだ。  いつもなら、直ぐさま、ふてくされて部屋のドアを蹴って外へ飛び出すのだが、今日は歯ぎしりをして地団駄を踏んでいると、ミーナがドアを開けて掃除道具を片手に入ってきた。
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