レジ打ち

2/3
前へ
/3ページ
次へ
みなさん、スーパーなんかで、お年寄りがカゴいっぱいに買い物をした時、そのカゴをレジのパートさんが袋詰めの台まで運んであげる光景、見たことありますよね・・・ 私、子供を保育園に預けることができたので、つい最近からスーパーでレジ打ちのパートを始めたんですけど、早速つまずいたんです、それで。考えすぎて、熱を出して寝込みました。 どの程度の量をもって、善意で運んであげればいいのか分からないのです、正直。思いやりが無い冷たい人間だと思われたくはないし、かといって、全てのお年寄にそれをやると、手間がかかって仕事が捗りません。そこで相談しました、店長、チーフが同席している場で。 「その都度判断すればいいんじゃない」 「うん。臨機応変にね」 出た。私の一番苦手なキーワード。だからそれが難しいから相談してんじゃないの・・・。 「明確な基準がないとダメなんです、私」 裏を返せば、明確な基準さえあれば、完璧な仕事を披露する自信があるということです。 「じゃあさ、自分なりの基準を設けたら?。それを尊重してあげるから」 そこで考えました、考えたら意外と簡単でした。カゴは網目状になっているじゃないですか、だから下から何番目のマスまで商品が入ってるかどうかで、判断すればいい訳です。 その日を境に、私の仕事ぶりは一変しました。隣のレジが3人処理する間に、私は5人、いけます。勝手に自分の頭の中で、生産性の女王の称号がちらつき始めたその時です。 いつものごとく、 「これは基準を越えてるから、運んであげなきゃ・・・」 すると、 「ああ、いいですよ別に」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加