2 ~His true intention~

6/7
275人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ
 嘆息する正弘であったが、その時、ドンドンと戸が叩かれた。 「なんでぃ! 」 「親分、その――――青菱の若頭が直々にいらっしゃいました。どうしやしょう? 」  舎弟の言葉に、正弘は驚きの声を上げた。 「なにぃ!? 用件はなんでぃ? 」 「あの……御堂の見舞いだそうです。とりあえず、別棟の応接間にお通ししやしたが」  チッと舌打ちをして、正弘は聖を見遣る。 「――――おめぇ、厄介な野郎に目ぇつけられちまったな」 「すみません、親分」  聖はそう言うと、再び頭を下げた。  「……じつは、オレ……倒れる前に野郎の腹に一発入れちまったから……それで相当恨みを買ったんだと思います。きっと、難癖付けに来たに違いありません」 「そうかい?――――ちょいと違うと思うが……」 「もしも親分にまで被害が及ぶようなら、刺し違えてでも野郎をぶっ殺します」 「おいおい……」  正弘は少々呆れながら、「よいしょ」と立ち上がった。 「物騒な事は言うなぃ。とにかく、おめぇは重傷の身なんだ。離れの部屋はそのままにしてあるから、おめぇはしばらくそこで養生しな」  そう言うと、正弘は聖の返事を待たずに、廊下に控えていた舎弟へ「聖を離れまで介助してやりな」と命令した。    ◇ 「オレは、聖の顔を見に来たんだが」  不機嫌な様子で鬱蒼と呟く史郎に対し、これまた剣呑な様子で正弘は口を開いた。 「生憎だが、あの野郎は、若頭のおいた(・・・・)の所為でまだ床から起き上がれませんや。今日の所はお引き取りくだせぇ」 「ほぉ? それならますます心配ってもんだ。顔を見ない事には、オレも安心できんな」  史郎の言葉に、後ろに控えていた青菱組の男達がスッと行動を起こそうとする。  だが、正弘は意に介さない様子でホッホと笑った。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!