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3 ~The bad situation~
天黄組の末端にあたる羽黒組のチンピラが、青菱が保管していた大麻へ密かに手を出して、横流しを企てていた事が発覚した。
当然な事だが、実害が生じたとしても、この犯人を横領容疑で警察に突き出す事など出来るワケが無い。
この事は双方の組で秘密裏に処理され、チンピラを抱えていた羽黒組は青菱に対し、詫びを入れる事となった。
だが、羽黒組の親に当たる天黄組にも、監督不行き届きではないかという話が持ち上がり――その結果、青菱の損失+アルファが天黄と羽黒へ要求される次第となった。
しかし、大きく勢力を落としていた天黄には、そんな要求に応えるだけの体力はない。
資金繰りが厳しいのが実情なのだ。
今のこの状況で、落とし前を付けろと言われてもどうすればいいものか。
組の主要な面子を集めた会合で、正弘は腕を組みながら『うぅむ』と唸った。
「チンピラのエンコはいらねぇが、とにかく青菱は金を出せってんだな。まったく、またどこか手放さねぇとならねぇぜ」
「しかし、親分」
組の財布を預かっている幹部が、遠慮がちに口を開く。
「土地は、今どんどん下がっている状態です。今手放すのは得策じゃありません。それに、例の暴対法があります。ヤクザの土地は簡単には売買出来ないんです。裏筋と使うにしても、またそこで結構な額の心付けが必要になりやす」
「ただでさえシノギが厳しいってのに、ウチはもうカネは用意出来ませんぜ。天黄を親と慕う子を護らなきゃあ、これから先やって行けません」
「――――じゃあ、どうしろってんでぃ! 」
正弘の一喝に、場にいた全員が押し黙るが……末席に座っていた幹部の一人が、ポツリと喋った。
「青菱に、御堂を献上するのが一番じゃないですかね」
「……なんだとぉ」
正弘の剣幕に怯まず、その幹部は続けて言った。
「何度も打診があったのは、ここに居る皆さんは知っているでしょう? 」
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