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4 ~His deep attachment~
天黄正弘が出した条件は以下の通りである。
一、聖の身分はこれまで通り、あくまで『応援要員』として、今までとの合算で五年間の期限付きで青菱へと預ける。
二、天黄としては、将来の組の運営を見越して綺麗な経歴のままで聖を大学へと進学させたので、その聖が通学する事には決して邪魔だてしない事。また、荒事には決して係わらせない事。
三、基本住居は天黄本家とするが、青菱で要件のある時は、その連絡が入り次第いかなる時でも駆け付ける事。
――――この最後の三つ目で散々揉めたが、青菱と天黄の双方で折衝を重ね、ようやく互いに折れる事で合意に漕ぎ着けた。
聖は、既に一年もの期間、史郎によってその身体を蹂躙されている。
今回は期限をしっかりと設け、合算で五年としたので、残りあと四年――――それさえ耐えれば、晴れて聖は自由だ。
「小僧……オレはあと一年だけと言ったんだが――――すまねぇな。青菱に押し切られちまった。四年も、あの若造の玩具にならにゃあ自由になれんとは……」
悔しそうに言う正弘に、聖は首を振って答えた。
「いいえ! 親分のお心遣い感謝しています。オレみたいな野郎の我が儘を聞いて――――組の為だという大義名分で、身内連中も謀って。こうやって大学へ通わせてもらっているだけでも勿体ないってのに。もう、充分です」
「しかし――」
「あと四年だけ耐えれば、オレは自由だ。一年間耐えられたんだから、きっと大丈夫ですよ……」
夭折の嫋やかな花のように微笑む聖に、正弘はまた「すまねぇ……」と言った。
◇
「残念だったな。オレから逃げられたと思って、喜んでいたんじゃないのか? 」
青菱史郎はフンと鼻で笑うと、床に転がっている全裸の男を見下ろした。
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