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輝くように美しい裸身を無防備に晒している男は、聖だ。
しかし彼は全く降伏する気は無いらしく、その碧瑠璃の瞳に苛烈な炎を滾らせていた。
「おい、何とか言ったらどうなんだ? 」
「――」
「少し離れている間に、口を無くしたか? 」
ククッと嗤いながら、史郎はその身体の上に跨った。
「……骨折は、完全に治ったようだな」
「――」
「言っておくが、アレはお前が悪い。攻撃されたら、こっちだって条件反射で反応しちまう。だから、つい拳が出ちまって――寸止めしようとしたが、避け切れなかった」
「――」
「しかし、本来なら謝罪するのはお前の方だ。このオレの腹に一発入れて、本当なら指の一本じゃ済まない所を特別に不問にしてやったんだから、少しは感謝したんだろうな? えぇ? 」
この言い様に、聖はキリリと眦を吊り上げた。
「何が感謝だ! ふざけんなってんだ!! 」
「ほう、ようやく口を開いたか」
「オレに何の恨みがあるんだか知らねぇが、よりにもよって天黄組にまで難癖付けやがって! オレはあんたみたいなネチネチした野郎が一番嫌いだ! 」
「……嫌い、か」
史郎は凍り付くような冷たい声で言うと、開いている聖の脇の下を、大きな手でスッと撫でた。
すると、聖の身体がビクッと反応した。
史郎は構わずに、今度は両の腋へと手を這わせる。
すると、目に見えて聖の身体に変化が現れた。
細かな汗が浮き始め、乳白色の肌は次第に緋色に染まり始める。
最初からマグロを決め込んで無反応でいようとしたが、これは堪らない。
柔らかい和毛に覆われたその部位は、聖の弱点の一つだった。
史郎はニヤリと笑いながら、細く柔らかい毛を撫で……次に、ブツっと無慈悲に抜いた。
「っ! 」
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