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「おっと、悪いな。触り心地がいいもんで、つい意地悪しちまった」
そう嘯きながら、次に脇腹に添って下方向へ手を這わし……脇と同じように、これまた柔らかい叢へと手を触れる。
「さぁて、こっちも触り心地がいいが――」
「やめろ! 」
聖は引き攣った声を上げた。
「オレを嬲って、何が面白いんだ!? そんなに毛が好きだってんなら、女子供みてぇに、ぬいぐるみでも抱えてろ! このサド野郎!! 」
その罵声に、史郎はピタリと手を止めた。
しかし、聖の方の口は止まらない。彼はそのまま、史郎を詰る言葉を放った。
「こっちは金輪際、もう二度とあんたのツラなんざ見たくねぇんだ! 何考えてるんだか知らねぇが、毎回しつこく絡んで来やがってウンザリなんだよ! そんなに野郎をいたぶりたいってんなら、二丁目に行って適当なの買ってこい! 」
「……オレは、野郎なんざ興味ねぇ」
「じゃあ、毎回オレに絡んで来るのは何なんだ!? このクソホモ野郎! 」
その罵声を浴びせる共に、聖の後孔へ前振り無く、指が二本突き入れられた。
「――! 」
痛みに、身体が硬直する。
「お前は、口を開くとオレを怒らせるような事しか言わねぇな。いつも、いつも……」
「う……うぅ……」
痛い、苦しい――――意識しない涙が、目尻に浮かんでくる。
すると、史郎は片方の手をサイドテーブルへ伸ばし、そこからローションを取り出した。
「血だと、すぐに乾いて却って滑りが悪いからな」
「あ……」
ぬるりとした液体が股間に垂らされ、耳を塞ぎたくなるような音がヌチャヌチャと音を立てる。柔らかい叢もベトベトになり――――史郎は後孔から指を引き抜くと、また手を伸ばして何かを取った。
「さぁて、それじゃあオレがまた意地悪心を出さないように、大元を綺麗にしてやるよ」
「ヒッ! 」
史郎の手に握られた剃刀に気付き、聖は短い悲鳴を上げた。
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