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驚いて、聖は眼を見開いたまますっかり固まってしまった。
その身体を抱き寄せて、史郎は言う。
「お前をオレの部屋に入れる時は、真っ裸にする必要があるようだな」
そう告げると、武骨な指が襟元へ掛かり……。
――――ビリッ!
「っ!? 」
着ていたシャツを引き裂かれ、聖は一瞬呆気にとられる。
しかし、次にジーンズのベルトを外されそうになった所で、我に返った。
「な――何しやがるっ! 」
抵抗しようとしたところ、のど輪を片手で掴まれ壁に押し付けられる。
そのまま容赦のない力が加えられ、聖の抵抗は封じられた。
「う……」
「大人しくしろ」
強い声で言うと、史郎はジーンズに手を掛けて、一気に下へ引き下ろす。
すると、白鹿のような、細く引き締まった美しい脚が姿を現した。
誰もが見惚れるようなその美脚に、倒れた仲間を介抱しようと駆け付けてきた舎弟たちまでもが、動きを止め言葉を失って見入った。
その中の幾人かがゴクリと息を呑むのに気付き、史郎はキッと背後に目をやる。
「おいっ! いつまでそこにいる気だ! 」
「へ、へい――」
だが、このやり取りの隙を突いて行動に出たのは――――聖であった。
地に足を付け、ヒュンと、空気を切り裂くような音を立てて聖の引き締まった脚は空中で弧を描いた。
そしてそれは、史郎の硬い筋肉に覆われた脇腹にめり込む。
油断していた史郎は、その攻撃をまともに受け息が止まる。
常ならば、これは脱出する絶好の好機であった筈だが――――残念ながら、そうはならなかった。
条件反射で繰り出された史郎の拳が、聖の胸を直撃してしまったのだ。
「――っ」
“ゴキリ”と嫌な音が、骨を伝って直接自分の耳に届く。
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