内緒3

41/41
26人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
 清貴は、顔がみるみる赤く染まってゆくのを感じた。  お婆ちゃんも人が悪い。  まさか、孫の情事の一部始終を伺っていたとは。 「な。幸せなのか、お前。どんな風に幸せなんだ? 言ってみ?」  やたらしつこい父に、清貴はただ一言だけ返した。 「まぁ、幸せだよ」 「おぉ、余裕だなぁ」  電話を終え、清貴は天を仰いだ。 「今度生まれてくる時も、また俺のお婆ちゃんになってくれよな」  そして柔らかな笑顔で、静かに祈った。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!