最近の技術は進歩し過ぎて最早魔法である

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未来視、超能力者が未来を予知する時に使われている能力とされている。しかし、この未来視は不安定で必ずその出来事が起こるとは限らない。何故なら様々な要因が絡んで見た光景と一致しない可能性の方が多いからだ。 打って変わって過去視、これは既に決まった現象を時を遡って見ることが出来るとされている。実はこの過去視、超能力者でなくとも見るだけなら誰でも可能だった。但し、その過去を見る為には必要な物が存在するのだが。 2091年、ある地質学者がその過去視に必要な鉱石を発見した事で、誰でも過去視が可能となった。しかし、発見出来た鉱石はほんの一握りだけ。全ての国が自国にと欲したが、その鉱石は何故かその土地を離れると過去視が出来ない事が判明し、自国での出土を目論み巨額の資金が流動した。 だが、10年の歳月が過ぎても最初に発見された所以外でその鉱石が見つかる事はなかった。そして2101年、最初に発見された鉱石はVRMMOの核として使用されていた。 『誰でもVRMMOで時間旅行が出来る。』 その謳い文句は世界中の者達を虜にした。ゲームの初回登録人数は僅か1万人。その時地球人口は100億だった為、抽選倍率が何と100万倍。その超倍率に当選した者の中には金儲けしようと考えていた者もおり、転売したら何と1億で売れてしまう程の価値を叩き出してしまった。 犯罪にまで発展してしまう恐れが出た為、1万人の当選者にあるコードが追加で送られて来た。そのコードを本人が後日送られて来る機材に直接入力しない限り、起動しない事を公表した。 後日、転売してしまった者以外の8千人が無事に送られて来た機材に入力を済ませて、ゲームを起動する事に成功した。そして機材の取り扱い注意事項にはこう書かれていた。 『1泊2日で過去に10年間滞在可能です。但し途中でログアウトしてしまうと戻る事は不可能です』 注意事項を無視して途中でログアウトしてしまった者は最短で数分でログアウトしてしまった。それでもその者は過去に数日過ごしていたと話す。 注意事項を守った者達は戻って来た時に10年間本当に過ごしていたと熱く語った。そして戻って来た時間に驚愕していた。何故なら眠っていた程度の時間でVRMMOのゲーム内で10年間を追体験してしまったのだから。 次の登録人数は10万人。初期登録時の出来事を踏まえ、有料での登録に切り替えて人数を調整しようと試みた。結果ーー。
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