ミートボール

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舌を差し入れると おずおずと応えてくる。 後頭部を押さえ 奥まで差し入れてから 上顎を撫でるように愛撫すると 身体の力が抜け ゆったりと俺に寄りかかる。 柔かい身体を抱きしめながら 心ゆくまで雪の味を楽しんで そっと口を離し その大きな瞳を覗き込むと 目元をうっすらピンク色に染め うるうると見つめ返す綺麗な瞳に ぐっと欲求がせり上がった。 ああ。可愛い。 欲しいものはいつも。 いつだって たった一つ。 「雪。急いで帰るよ。姫始めって知ってる?」 「いえ。。知りません。なんでしょう。」 首を傾げ 聞き返す雪を眺めていると にやにやと口元が緩んでいたのか 思いきり眉間に皺を寄せられた。 「司様。」 途端に低い声音。 さすが。 鋭い。 悪巧みレーダーは今年もその威力を 遺憾なく発揮しそうだ。 まあ。 気にしないけど。 舌をペロッと出し 返事を返さずにいると 頬に向かって手が伸びてくる。 パッとその手を掴み 甲にチュッとキスをした。 「いっぱい教えてあげるね。」 ツンツンと真っ赤な鼻を突き 身体を離して カウンターへと向かって 皿やグラスを持ち さっさと帰る支度を始める。 雪はあたふたと後ろをついてきて 同じように 片付けを手伝いながら 必死に俺に問いかけた。 「司様。教えて下さい。姫始めとは何ですか。 何かまた良からぬ事をお考えなのでしょう。 なりません。きちんとご説明なさって下さい。 司様!ちゃんとお話して下さい!」 除夜の鐘とシンクロする 追求する声を聞きながら 司はリモコンを持ち くすっと笑う。 顔を近づけ 雪の口に己を押しつけて塞ぎ 腕を伸ばして ブチッと電源を切った。
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