★ランバート&ファウストの場合

2/5
前へ
/38ページ
次へ
 封を切って、それぞれのグラスに注いで軽く乾杯をする。このワイングラスも、お揃いのデザインを揃えた。シャンパングラスも。  今着ているローブも同じデザインの色違いだし、クッションや膝掛けも一緒に選んだ。  いつのまにかファウストの部屋には、二人で選んだお揃いが溢れている。 「お前が補佐についてくれたことで俺は自由にやれているが、お前は逆に執務室にいる事が多いだろ。たまには俺がやるぞ」 「処理能力が圧倒的に違うし、ファウストにしかお願いできない事もある。それに、俺も飽きたりしたらあちこちの師団にお邪魔して訓練してるしね。案外自由に、好きにさせてもらってるよ」 「聞いてる。他の師団でもお前が入ると刺激になると喜んでいたぞ。先輩は負けられない、同期は戦いたい、後輩は憧れだからな」 「ファウストだってそうだろ?」 「俺に挑む奴は少ないよ」  苦笑するファウストの口振りは、まぁ、分からなくはない。手加減してくれているが、この人の加減は他の隊員の本気を軽く上回るから。 「あ、美味い」 「そりゃ良かった」  お化けクッキーを摘まみ上げたファウストが呟くのを聞いて、ランバートは笑う。案外甘い物も好きな人だ。 「俺の嫁はハイスペック過ぎるな」 「そうだよ。俺を逃がしたら、絶対後悔するんだぞ」     
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

305人が本棚に入れています
本棚に追加