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分かっている、料理府は騎士団全体の健康を支える重要な場所で、美味しいご飯と健康面もサポートするレシピを考えるのは大変だ。しかも毎回同じものがローテーションされるわけじゃない。定番はあっても、味の配分が違ったりする。
それこそ夏は暑くて、汗をかく隊員の為に少し塩分を強めたりもしているのだ。そんな細かな配慮をしてくれる食堂なんて、ここ以外じゃ王宮くらいだろ。
分かっていても、寂しい。部屋に帰ってきてキスをして、その後は寝てしまうのだ。
「……帰ろう」
一人のスイーツ巡りなんて、沢山してきたのに今日は気分じゃない。レイバンはお土産にカボチャのクッキーを買って、日も高いうちに戻っていった。
部屋でゴロゴロも寂しくて、何となく鍛えたり、そこらのお一人様を捕まえては悪戯して、それでも本当に埋まって欲しい部分は埋まらないまま夕方。
早めの風呂に入って部屋に戻ってきたレイバンは、そこで立ち止まった。
ここでディナーもするからと、テーブルは良いものを買い直した。そのテーブルの上にメッセージカードが一枚。
『トリック オア トリート』
驚いて固まっていると、戸口に人が立つ。振り向けば苦笑したジェイクが茜色の日を背にしていた。
「菓子、美味かったか?」
「ジェイさん」
しっかりとした足取りで近づいてくるジェイクが、側に来て抱きしめて、髪の中に鼻を近づける。そしてちょっと、がっかりしている。
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