輪を廻る

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 「もしも貴方が両親以外に目を向けていれば、貴方の魂は救われたかもしれない。―――あのお姉さんと、僕とれー君みたいな関係を築けたかもね」  「ドーしテ?……オマエだッテ、イッショなのニ」  消える前にほんの少し、最後の最後で自我を取り戻したのか憐れな魂が語り掛けてくる。  「オまエだっテ、パパとまマに愛サレタイって想ってるハズでショう……?」  僕はパチパチと目を瞬かせた。そういえばこの人は僕がれー君に取り憑く前からあの家にいたのだ。  だから知っている。僕がれー君に取り憑いた理由を。  「確かに昔はそうだった。でもさ、れー君の傍にいたらそんな感情無くなっちゃった!何だかあの子、放っておけないんだよね」  光の粒が完全に魂を包み込んだ。  こうやって魂はリセットされ、人間はまた生まれ変わる。  「今度の人生では、貴方を愛してくれる人に、愛せる人に出逢えると良いね」  腕の中から魂が消えていく。 「……バイバイ、お姉ちゃん」  呟きは真っ白な世界に溶けた。  いつもは忘れているのに、今日はやけに思い出す。  温かな場所からグチャグチャに潰されて引きずり出されたあの過去を。  両親に愛される弟を恨んだ昔のことを――。  「……あーあ、早くれー君のところに帰りたい」
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