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屋上に通ずるドアノブを
僕らは仲良くほぼ同時に掴む。
「聞き分け悪いな。君は下がってろ」
「いいえ、あなたこそ引っ込んでいて」
無論愛ゆえにどちらも先を譲らない。
しばしにらみ合い。
「あっ……あそこ!」
僕はあらぬ方法を指さし
「何?何がある?」
純粋な彼氏がそちらに気を取られているうちに
先手を打つという至極原始的なやり方で先に扉を押し開ける。
「あ!汚いぞ」
「天宮の子ですから」
僕の嘘にまだ騙されてくれる恋人を
愛おしく思いながらも
「だからあなたの出る幕じゃないって言うの」
だからこそ近づけたくない。
神の子とは名ばかり――あいつは危険だ。
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