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「それより征司くんに一声かけなくてよかったの?」
「ええ、それは……」
九条さんと薫を助けに行ったなんて後で知ったら
まあ、きっと怒るだろうな。
だけど――。
『あいつが死んだらおまえの責任だ』
僕は征司の言葉を頭の中で反芻する。
『もしそんなことになればおまえをこの家から追放するしかない』
それで首を横に振った。
「ええ。これで良かったんです。あなたを危険に晒すのは本意じゃないけれど――うわっ……!」
僕が言った尻から
九条さんはまたスピードを上げる。
「言ったでしょう?僕はけっこうスピード狂で、危ないこともスリルも大好き」
「だね。あなたって意外と激しくて大変な時あるもの」
「何?もう一回言って」
「やだ」
僕のために馬鹿やってるとは
あくまで認めないつもり――。
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