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「やめろ……!それはっ……!」
細いチェーンが弾ける。
ルカは悲壮な叫び声を上げた。
「僕ははなから神様なんて信じちゃいない……この世に生まれてきたのは好き勝手やるためさ!」
いつしか自然と笑いが込み上げた。
「和樹……」
振り向くと柵を越えてきた九条さんが
呆然と立ち尽くしそんな僕を見つめていた。
「軽蔑したかい?でも僕の世界に神も悪魔もいない」
だけどもう完全な興奮状態だから
隠すことはできなかった。
「いるのは自分、自分、自分。ああ、そう僕だけだ――」
世界は僕を中心に回っているのだと言うことを。
隠すことはできなかった。
「見てろ。僕が君を苦しめる神とやらに復讐してやる」
実に愚かで身の程知らず。
それゆえに僕がどれほど魅力的かということを。
「やめろぉっ……!」
隠すことはできなかった。
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