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「フフフ……綺麗だね」
青い月に逆さ十字を翳して
握っていた指を1本ずつ開いた。
「さよならだ」
宙に煌めきだけを残し
ルカと神の最後の繋ぎ目は暗い地の果てに落下した。
「なんて……なんてことするんだ……」
ルカの声は怒りか悲しみか
そんな陳腐な感情に支配され震えていた。
「助けてやったんだ」
僕は迷いなく答えた。
迷いなんかあるもんか。
「君らしく生きられるために」
僕はいいことをした。
珍しくこの僕がいいことをしたんだ。
九条さんの眉尻が下がる。
でも僕を非難しているわけじゃないのは分かる。
彼の中には神様がいるから。
悲しいんだ。
「神様はもういなーぁい」
きっと――悲しいんだ。
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