episode249 末期症状

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「フフフ……綺麗だね」 青い月に逆さ十字を翳して 握っていた指を1本ずつ開いた。 「さよならだ」 宙に煌めきだけを残し ルカと神の最後の繋ぎ目は暗い地の果てに落下した。 「なんて……なんてことするんだ……」 ルカの声は怒りか悲しみか そんな陳腐な感情に支配され震えていた。 「助けてやったんだ」 僕は迷いなく答えた。 迷いなんかあるもんか。 「君らしく生きられるために」 僕はいいことをした。 珍しくこの僕がいいことをしたんだ。 九条さんの眉尻が下がる。 でも僕を非難しているわけじゃないのは分かる。 彼の中には神様がいるから。 悲しいんだ。 「神様はもういなーぁい」 きっと――悲しいんだ。
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