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ルカが至極大切にしていた
神の印が星屑になった途端。
薫が息を吹き返したように咳込んだ。
本当に生きているんだ。
ホッとしたのも束の間。
「君と関わるべきじゃなかった……」
「アッ……!」
「悪魔――正真正銘の悪魔め」
ルカの怒りは再び激しい火を噴いた。
すぐに上下が入れ替わり
「っ……!」
僕は柵もない屋上から半身乗り出す形で
はるか遠くに着地点を見る。
「殺してやる……」
我を失くした聖職者は
哀れな狂犬のように牙をむき僕の首を締め上げる。
「んんっ……!」
僕の身体は既に
腰のあたりまで宙に浮いていた。
それでも伸ばした手のひらにはまだしっかりと
生暖かい夜風を感じる。
頭のどこかで思っていたんだ。
僕が死ぬわけないじゃないかと。
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