episode249 末期症状

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いつしか地面にうずくまったままの薫が 啜り泣く声が聞こえてきた。 その声を聞くや九条さんは 暗い地面をのぞき込むようにカクンと膝を折った。 「どうしよう……」 情けない僕はおろおろと そんな世界の崩壊を見つめ立ち尽くす。 その時だ。 「見ろよ――これがおまえのしたことだ」 世界の崩壊と共に訪れる靴音。 振り向けばいつもと同じ憎らしい溜息を吐く征司がいた。 「征司お兄様……助けて下さい……」 僕は当然のように助けを求めて柵の向こうに手を伸ばす。 しかし柵を握って重なる手が 触れた途端に僕は気づいてしまった。 冷たい――征司は今来たんじゃない。 だいぶ前からそこにいたんだと――。
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